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熱の伝わり方

熱の伝わり方が良く解っていないと、断熱工事とか暖房器の配置がダメで、費用の割に暖かくない住宅になる恐れがあります。

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温度差のある状態では、熱(エネルギー)は水の流れのように、 高い方から、低い方へ流れていきます。 この熱エネルギーの移動形態(熱の伝わり方)には、下記の3つの形態があります。

●熱の伝わり方の種類

熱伝導・・・・・・・・・・分子などの衝突による。
対 流・・・・・・・・・・物質の移動による。 放射(輻射)・・・・・・電磁波による。

●熱伝導

物体の一部を加熱するとその部分の分子や電子の運動が激しくなる。これらの分子や電子はとなりの分子や電子と衝突してそれらを揺さぶる。つぎつぎと揺さぶっていくので、分子や電子の激しい運動がひろがっていく。これを伝導という。物体がどのくらいよく熱を伝導するかをあらわすのが伝導率である。金属は自由電子があるので熱伝導率が大きい。

●対 流

鍋に水を入れて下から加熱すると、底部の水は膨張して密度が小さくなり、冷たい水に上へ押し上げられる。底部にはその冷たい水が入り込む。このように物体が循環する現象を対流という。水や空気は熱伝導率は小さいが対流によって熱をよく伝える。

●放射(輻射)

宇宙は真空であるが、太陽の熱は地球に届く。これは熱が赤外線などの電磁波によって伝わるからである。このように電磁波で熱が放出、伝達されることを放射という。太陽ばかりでなく、あらゆる物体は表面から熱を放射しており、その波長は物体の温度によって異なる。物体の温度が高いほど波長は短くなる。すべての物が熱を放射しているのに、必ずしも物体の温度が下がらないのは、同時に吸収もしているからである。周囲の温度が低ければ吸収が放射より小さくなって温度が下がるが、周囲の方が温度が高ければ吸収が放射より大きくなって温度は高くなる。

 

「遮熱塗料」とか 「遮熱材」といった建築材料がありますが以下のような意味です。

●断 熱

伝導による熱の伝達を抑える。

●遮 熱

放射(輻射)による熱の伝達を抑える。

 

松尾設計室一級建築士事務所様の実験によると

@夏の日射のきつい日の昼間を想定した実験全く同じ条件で、前に電気ストーブを置いたときの内部の温度上昇を測定しました。この状況では伝導による熱の伝達よりも輻射による伝達のほうが多いと考えられます。

A厳寒期の冬の夜(日射がない)を想定した実験全く同じ条件で、二つの箱を冷蔵庫に入れ室温から冷蔵庫内と同じ温度に下がるまでの温度の下がり方を測定しました。

以上の2つの実験の結果ですが、

@の実験結果

  • 若干ではあるが遮熱材のほうが温度上昇を抑えられる。
  • スイッチをオフにしたあとの温度の下がり方は遮熱材のほうが早い。

Aの実験結果

  • 温度の下がり方は圧倒的に遮熱材の方が早い。
  • 冷蔵庫から出した後の温度の上がり方は圧倒的に遮熱材の方が早い。

厳密を期した実験ではないので、実測データの公開はなしとしますが、上記のような結果が得られました。
この結果から私が考えるには、「晴天時の夏の昼間のような太陽からの輻射が熱伝達の大部分を占める環境では遮熱材は効果がある」が、 「冬の夜のような伝導が熱伝達の大部分を占めるような環境ではほとんど効果がない」 というのが実情ではないかと考えられます。
よって、結論としましては 「遮熱材を単体で使うと、冬の断熱性が不足により快適な環境が維持しにくいと考えられるのでお勧めできない。」 「通常の断熱をきちんと行った上でより、夏の環境をよくしたい場合にあわせて使うと昼間の暑さを緩和できると同時に、日が落ちた後の急速な温度低下も期待できる。」 といえると思います。

との実験結果が出ております。ご参考にして下さい。

 

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