◆自己資金はいくら用意できるの?
J子 | 「住宅資金の基本については分かってきたけど、肝心の自己資金が足りなそうだわ。何かいい知恵はないかしら」 |
陳場 | 「家野さんの場合、住宅取得のための積立預金をなさっていますか」 |
J子 | 「そういえば、主人が前々から会社で住宅財形とかいう積立をしていたような気がするわ」 |
陳場 | 「家づくりのための自己資金をつくるには、なんといっても、毎月、資金を少しずつ積み立てていくのがポイントになります。金融機関の住宅財形貯蓄などが代表的なものですが、これらは、自己資金づくりに役立つだけでなく、財形融資を受けることができるので、家づくりには大変有利です」 |
J子 | 「でも、住宅財形の積み立てといっても、うちの場合、たいした金額ではないから、自己資金を20%以上用意するのはちょっと厳しいわね」 |
陳場 | 「自己資金というと、今すぐに自分で用意できる現金や預貯金というイメージがありますが、もう少し、幅広く考えることができますよ」 |
J子 | 「といいますと?」 |
陳場 | 「ご夫婦2人の手持ちの現金、預貯金はもちろんのこと、ご両親などに資金援助していただくことができれば、そういった資金も自己資金の中に入れることができます」 |
J子 | 「まあ、そうなの。自己資金というから、自分たちで用意できるお金だけだと思ってたわ。でも、親からお金を出してもらうと、税金が大変だと聞いたことがあるわ」 |
陳場 | 「やり方を間違えなければ、そんな心配はいりません」 |
J子 | 「どういうふうにすればいいの?」 |
陳場 | 「住宅取得に親からの資金援助を受ける場合、大きくは3つの方法があります。まず1つ目は、住宅取得資金等に係る相続時精算課税制度の特例を使って、親から住宅資金の贈与を受ける方法です。通常の場合、贈与税はとても高い税率なのですが、平成19年12月31日までで、一定の要件を満たした住宅資金の贈与の場合、3500万円までは税金がかかりません。」 なお、従来から利用されていた住宅資金贈与の特例(1人550万円までの住宅資金贈与に税金がかからない特例)は平成17年度末で廃止されました。 |
J子 | 「うちの場合、私の両親から、ひょっとしたら資金援助を受けられるかもしれないわ。でも、税金を支払うのはばかばかしいから、550万円が限度ね」 |
陳場 | 「ただし、この制度を利用しますと、それ以後従来の贈与制度は利用できず、贈与税の基礎控除額(110万円)以下でも申告が必要となります。また、相続の際には、贈与額を相続財産に加えて相続税の計算を行うことになるため、利用にあたっては多方面からの検討が必要です。」 |
J子 | 「なるほど。早速、両親と相談してみます」 |
陳場 | 「2つ目は、親との共有名義にする方法です。負担した資金の比率に応じて住宅を共有名義にすれば、税金の問題はありません。これは、贈与税の特例の非課税範囲を超える資金援助を受ける場合の1つの方法です。3つ目は、親からお金を借りるという方法です。親からの借金でも、他の借入金の返済などを含めて収入的に十分返済可能な状況にあり、返済の事実があれば、借入金として認められます。しかし、この親からの借金による方法は、毎月の返済がいい加減になったり、返済源資が不明確であったりすると、贈与と見なされる危険性がありますので、あまりお奨めではありません」 |
J子 | 「うちも私たち夫婦の手持ち資金だけでは足りそうもないから、どうしようかと思っていたけど、今の話を伺って希望がわいてきたわ」 |